一を聞いて虚数解

枠の外の話

この成立がスタートライン。でしょ?

いや、Radioshiftを起動させると、いかに世界にはネットとのサイマルしてるラジオ局が多いかってのが解りますし、日本の状況を見るとこれまで遅れてるなんて言われてもしゃーない感は否めません。
地域密着ラジオ”をネット同時配信 JASRACなどと交渉成立 - ITmedia Newsとの事で。
権利関係に関しては堅いと言うか、遅いというか…そんな感じな日本ですが、その中でのこの動きは非常に大きいと思っています。
でこれがそのページな訳で、是非地元のコミュニティFMと合わせて聞いてみてください。SimulRadio サイマルラジオ(三角山あたりはコンサドーレの中継ですでに地域を越えておなじみではありますが)

もともと20Wの制限があるコミュニティFMでは昨今の市町村合併のあおりもあってカバーしきれないところが多々あります。(新潟市なんて合併のあおりで市内で3局コミュニティFM局があるわけだし)ので建設コストがかかるな中継局よりも、Webの方がお安くすむ場合もあるのではとは思います。(具体的数字は解らないので推測ですが)

Podcastがあるじゃんといわれそうだけど、違うよ。全然違うよ。コミュニティFMの場合は可聴範囲が狭いので車や移動中に聞くよりも据え置きや携帯ラジオで作業しながら聞く方が現実的で、そのため長時間聞くというのが特徴です。そのため同じようなWebのラジオでも明らかにニーズが違ってきます。ましてやキー局では番組のおまけ的な位置に収まってる現状では。

エリアの補完、難聴のカバーという意味でも据え置き+Webで何とかなるというのにはそういう意味合いがあります。

さらに、こうやってポータルができることで、いろんな人、地域外への露出の可能性も出てきてるので、そのうちコミュニティFM出身の人気パーソナリティが出てきたり、地域初の人気商品とかが出てくるかもしれない。とかいろいろ可能性はあります。

このまま、どんどんサイマルする局が増えればなぁなんて思いますが、ただ、その反面この発表で、気になったことはあったりなかったり。

現在日本国内にあるコミュニティFM
総務省のサイトで217局。ブームは去ったとはいえ、これからもちょびちょび作られていくとは事は考えられます。
しかし、今回のサイマル放送に関してのアライアンス加入局は19局。ものすごい差があります。まずは活動が活発なところが道を切り開いてって言う流れだという訳ですが、実際今後Webとのサイマル放送にまでこぎ着けられる局がどこまで増えるか。年内40局、2年後に100局という目標が掲げられていますが、本当にそこまでいくかというのはまだ不明です。(もちろんこれの成果がきっかけで乗り出す局が出てくるのはまちがいないとは思いますが)

なんでかと考えると、著作権やコストの他に、コミュニティFMの抱える大きな問題が。

単純に流せる番組が少ない。
コミュニティ放送 -Wikipediaにもあるとおり、放送時間のいくらかの割合でJ-waveやmusic birdの再送信だったりする局も多いのが現状では中には、キー局の東京の天気や交通情報がそのまま流れたりなんて。

その中である一定の時間はすべて自社の番組ならまだしも、再送信番組だったりすれば当然流せない訳で、現状そんな局がWebのためだけに番組をなんて事は当然考えられません。垂れ流し的な使われ方がメインのラジオでぶつ切りの放送時間になるのはいただけません。また(もしかしたらコンセプトとしてそうしている局があるのかもしれませんし、そういうのもまたありかなと個人的に思うときもありますが)空いた時間を音楽を流し続けるだけの状態の局もあります。ありかもしれませんが、わざわざそれしか流れない局(選曲にコンセプトがあるというならまだしも)に合わせる人というのもまれだと思います。

それが、予算(採算)の問題だったり、人的に不足してるという問題だったり原因は多々あるとは思いますが、おそらくこれまでで最も大きな問題であり、これから先へのコミュニティFMそしてサイマル放送の最も大きなネックになることは間違いありません。ここを解決することが実は最も大きな成功の鍵だと個人的には思っています。(局間の連携でカバーしてるとか動きはあるけど、究極的にはやっぱり一社のコンテンツの充実が最も必要なわけで)

それとは別に自治体との第三セクターが多いコミュニティFMにおいて、そこまで本気になって県域やキー局に追随する局がそこまでいるかという単純な疑問も。(私の地元の某局も最近はずいぶんと手堅くなっちまったみたいだし。ちょっと前ならこういうのに真っ先に飛びつきそうな感じだったけどねぇ)それはまた別の話なのですが。

まあ、あれですよ、大変だってのは重々承知ですが、7時から19時くらいまでは何とか自社番組で埋まってるようになってくるとおもしろくなるんじゃないかと(ラジオのゴールデンは深夜だろって話もありますが)

今回の動きがWebにでるという露出の増加で、ラジオ制作を志す人がコミュニティFMをめざし、またコミュニティFM局がコンテンツの拡充をねらって積極的に散らばってる原石をじゃんじゃん登用する。そんな状況を生み出す原動力になればとは思いますしそういった、野心の持ち主達の障害が一つ取り除かれた今回の出来事は非常にいいことだと思います。


現状としてコミュニティFMって結構認知度も低めだし、人気もあるかどうかって結構疑問。でも、だからこそこれから発展させることもできるって訳で。逆にここまでできるんだからがんばってもらわないととも思います。これまでだってラジオの周波数の並びでは県域やキー局と戦い。これからはWebというテレビでさえ食われるような広大な娯楽の中での戦いですから。